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皆さんこんにちは!
株式会社Kagusuki、更新担当の中西です。
さて今回は
~日本のインテリアの変化~
日本の住まいとそのインテリアは、時代とともに大きく姿を変えてきました。それは単なる建築様式の移り変わりではなく、人々の暮らし方・価値観・社会構造の変化を映し出す鏡でもあります。
本記事では、縄文時代から現代まで、日本におけるインテリアの変化とその背景を、歴史的・文化的・社会的観点から深掘りしていきます。
目次
縄文時代の住まいは、竪穴式住居に代表されるように、地面に穴を掘り、木や草で覆った極めてシンプルな構造でした。この頃のインテリアという概念はまだ存在せず、自然と一体となった暮らしの中に、最小限の道具や火を中心とした生活空間が広がっていました。
弥生時代には稲作が始まり、集落の構造が整理されるとともに、住居にも若干の機能分化が見られるようになります。家具や調度品はまだなく、**空間そのものが“生活そのもの”**という考え方が続いていました。
平安時代には、貴族の邸宅に「寝殿造(しんでんづくり)」という建築様式が登場します。これは、広い空間を屏風や几帳などで仕切る開放的な造りで、インテリアも儀式や格式を重視した装飾的なものとなりました。
一方、室町時代には、武士階級の台頭により「書院造(しょいんづくり)」というより機能的で静謐な住まいが主流に。この頃から畳の敷かれた空間、床の間、障子といった、日本的インテリアの基礎が形成されます。
特に「床の間」に見られるように、限られた空間に美を凝縮する感性は、日本独自のインテリア観の萌芽といえるでしょう。
江戸時代になると、都市化の進行とともに町人文化が花開き、庶民の住まいにも明確な様式が生まれます。たとえば「長屋」は、限られた敷地を効率的に活用するための共同住宅で、一部屋を多目的に使う「間」の思想が発展します。
この時代のインテリアは非常にミニマルで、生活に必要なものだけを持ち、季節ごとに道具を入れ替えることで空間の美を保つという、「動的ミニマリズム」が特徴です。
また、家具といえば「箪笥(たんす)」「ちゃぶ台」「行灯」など、持ち運び可能な小型の道具が中心で、「空間に合わせて人が動く」という発想が根付いていました。
明治維新以降、西洋文化の流入により、日本のインテリアにも変化が訪れます。レンガ造りの洋館や椅子・テーブルなど、従来の“床文化”とは異なる「椅子文化の導入」が進みます。
ただし、この時代の住まいは、「和洋折衷」が主流でした。たとえば、畳の部屋にピアノを置いたり、ちゃぶ台の横に洋風のランプを置いたりと、日本と西洋が混在する空間が広がっていきます。
昭和初期には「文化住宅」が登場。和室と洋室が併設され、サッシ窓や電気照明、タイル張りのキッチンなどが取り入れられ、現代インテリアの前身が形づくられました。
戦後の住宅政策により、多くの「団地」が建設されました。コンパクトで機能的な間取り、均質化された内装、プレハブ建材などが特徴で、日本のインテリアも機能性重視へと大きく舵を切ります。
1960〜70年代には、「和室+リビングダイニング」という組み合わせが定番となり、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの“家電三種の神器”が家庭に入り始めたことにより、モダンインテリアの時代が始まります。
家具も量販店で購入できるようになり、インテリアは「選ぶ時代」に移行しました。
1980年代のバブル経済期には、輸入家具や高級ブランド家具が人気を博し、インテリアはステータスや個性を表現する手段として注目されました。
一方、バブル崩壊後の90年代以降は、「無印良品」や「IKEA」など、シンプルで機能的、かつリーズナブルなデザインが主流となり、日本人の価値観も「見せる」から「整える」「心地よさを追求する」方向へとシフトしていきます。
また、DIYやリノベーションブームも到来し、個人が自ら空間を編集するというスタイルが浸透しました。
令和の時代に入ると、ミニマリズムや北欧デザイン、ナチュラルテイストといった“心地よさ”を重視するインテリアが定着します。特に若年層には、**「持たない暮らし」「余白のある生活」**への関心が高まっており、かつての“和の美意識”が新しい形で再評価されています。
また、コロナ禍を経て「家で過ごす時間の質」が問われるようになり、リモートワーク対応の家具、間仕切りの工夫、照明・音響へのこだわりなど、よりパーソナルな空間づくりが進んでいます。
日本におけるインテリアの変化は、単なる流行ではなく、私たち日本人が何を大切にし、どう暮らしてきたかの歴史そのものです。
時代が変わっても、「自然との調和」「空間の使い方」「心の豊かさを大切にする感性」は、常に日本のインテリアの根底に流れています。
これからの住まいも、きっとその延長線上にあるのでしょう。