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月別アーカイブ: 2025年7月

第17回インテリア雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社Kagusuki、更新担当の中西です。

 

 

さて今回は、

~経済的役割~

 

オーダーメイドインテリア製作業は、一見すると小規模でニッチな分野に思われがちですが、実は地域経済、雇用、建築・住宅産業、文化産業、サステナブル経済など、多方面にわたる経済的影響力を持つ業種です。

単なる家具づくりではない「空間価値の創造」としてのオーダーメイドインテリア製作業は、今日の多様化社会と豊かさの定義が変化する中で、ますますその重要性を増しています。

オーダーメイドインテリア製作業が果たす経済的役割を多角的に分析し、その社会的意義を明らかにしていきます。


1. 地域に根ざした中小工房が生む「地場経済の核」

多くのオーダーメイドインテリア製作所は、地方や地域に拠点を構えるスモールファクトリー型の事業体です。これらは大手資本とは異なり、地域材、地元職人、地域顧客といったローカルネットワークを基盤に持ちます。

● 地場経済への影響

  • 地元木材(国産材)の活用により林業や製材業と連携

  • 地元の建築士や工務店との協業で地域内での経済循環を強化

  • 工房やショールームの存在が観光・体験型ビジネスに発展するケースも

このように、オーダーメイド製作業は“地域でつくって地域で使う”内需型経済の象徴として、地域経済の中核的な存在となりうるのです。


2. 雇用創出とクラフト人材の育成

インテリア製作業は、職人技と設計技術の両方を必要とする分野であり、若年層の技術習得や地場雇用の受け皿としても貢献しています。

● 雇用面の経済的価値

  • 地方都市や郊外における技能職の安定雇用

  • 若手の育成によって手に職をつけるキャリア形成が可能

  • 高齢職人の知見を次世代に継承することで、技能と経済の持続性を担保

クラフト業は決して過去の遺産ではなく、今なお地域社会に根付くリアルな経済活動として存在し続けているのです。


3. 建築・不動産業界との連動による高付加価値創出

オーダーメイドインテリア製作は、単体ではなく建築・リノベーション・インテリアデザインなどと連携して、空間全体の価値を高めます。

● 建築経済への波及効果

  • リノベーション住宅における造作家具導入で物件価値向上

  • オフィス・商業施設のブランディングツールとして、企業の経済活動を間接支援

  • 注文住宅市場での“暮らし提案型”設計の重要な構成要素

これにより、空間の“差別化価値”を担保する役割として、建築不動産産業における付加価値創出に寄与しています。


4. サステナブル経済への貢献

近年、環境配慮の観点からも、廃材・国産材の再利用、持続可能なものづくりが注目されており、オーダーメイド製作業はその先駆けとなっています。

● 環境経済への影響

  • 大量生産・大量消費に依存しない経済モデル

  • 長く使える設計思想=買い替えサイクルの長期化による資源節約

  • 廃校材や解体材のアップサイクルによる地域資源の再評価

これは“モノを買う経済”から“モノに意味を込めて選ぶ経済”への転換を象徴しており、環境と経済の両立に寄与するモデルです。


5. 感性消費・文化産業としての価値創出

人々の価値観が「効率」から「個性」「体験」へとシフトする中で、オーダーメイドインテリアは文化的・情緒的価値のある商品として経済活動に貢献しています。

● 感性経済における意義

  • 作り手との対話や制作過程の共有が体験型消費として価値を持つ

  • 地域色や伝統技法を活かした製品が地域ブランディングにもつながる

  • デザイン性・ストーリー性のある作品は高付加価値商品として市場に展開可能

このように、“ものづくり×文化・感性”の領域で新たな市場を生み出す起点として、文化産業の一翼を担っています。


「つくることで経済を動かす」オーダーメイド製作業の真価

オーダーメイドインテリア製作業は、以下のような広範な経済的役割を果たしています

  • 地域内経済循環の中心拠点としての役割

  • 職人技術と雇用の継承・育成による人材投資

  • 建築・空間産業との連携による高付加価値創出

  • サステナブル経済の先進的モデル

  • 感性・文化・ライフスタイル市場の活性化

この産業は単なる家具の製作業ではなく、「空間を通じて暮らしと経済を豊かにする社会的インフラ」として、今後ますますその存在感を高めていくことでしょう。

 

第16回インテリア雑学講座

皆さんこんにちは!
株式会社Kagusuki、更新担当の中西です。

 

 

さて今回は、

~多様化~

 

オーダーメイドインテリアは、単に既製品に代わる高級な選択肢ではなく、**個々の価値観やライフスタイル、空間の在り方に深く関わる“表現手段”**として、多様化の時代を迎えています。

かつては富裕層向けの家具製作や店舗什器が中心だったこの業界ですが、近年では、個人住宅、SOHO、福祉施設、リノベーション空間、サステナブル建築など、あらゆるニーズに対応する産業へと進化しています。

オーダーメイドインテリア製作業の多様化について、「顧客層」「製品・素材」「設計手法」「空間ジャンル」「文化的ニーズ」などの視点から深掘りしていきます。


1. 顧客層の多様化:法人から個人、若年層へ

● かつての中心:法人向け什器製作

飲食店・商業施設・ホテルなどが主な顧客で、空間デザインとの連携による高級什器製作が中心でした。

● 現在の主流:一般住宅や個人オーナーもターゲットに

  • マンションリノベーションに合わせた造作家具

  • 在宅ワーク対応のワークスペース家具

  • DIYユーザーとのコラボ制作(設計支援+加工のみ)

若年層やデザイン志向の個人が、“家具を買う”から“空間を作る”へと価値観を変えたことで、オーダーメイドの裾野は広がっています。


2. 製品の多様化:機能と表現の二極化

従来の「テーブル」「収納」「カウンター」などの大型造作に加え、近年では生活導線や感性に寄り添うユニット製作が増加しています。

● 機能重視のオーダー

  • 狭小住宅や変形間取りに対応したスペース効率特化型

  • 車椅子対応カウンターや介護施設の収納のようなユニバーサルデザイン

  • 耐水・耐熱・防音といった素材スペックにこだわる要望

● 感性重視のオーダー

  • 古材や流木を使ったヴィンテージ加工

  • 和紙や漆、鉄、アクリルなど異素材のミックス

  • 空間全体の世界観を演出するインスタレーション的なインテリア

このように、“機能に寄せる”オーダーと“個性に寄せる”オーダーが共存する時代へと進んでいます。


3. 素材と製法の多様化:サステナブル&テクノロジー

● 環境配慮素材の活用

  • 廃材や間伐材の再利用(アップサイクル)

  • F☆☆☆☆(ホルムアルデヒド放散量最小)認定材料

  • 天然オイル・蜜蝋塗装による無害仕上げ

● デジタルファブリケーションの導入

  • CNC加工機やレーザー加工機を駆使した自由形状製作

  • 3Dスキャナ・CADとの連携による高精度対応

  • 受注→設計→加工→納品までのクラウド一元管理

これにより、手仕事とテクノロジーが融合した“クラフト2.0”とも呼べる領域が誕生し、より高いデザイン自由度が可能となっています。


4. 対応空間の多様化:住空間だけではない

オーダーメイドインテリアは今や、住宅以外の領域にも深く入り込んでいます。

● 対応ジャンルの拡大

  • 福祉施設や高齢者住宅:使いやすさと安心感を両立

  • オフィス・コワーキングスペース:企業理念を表現する内装家具

  • 教育・保育施設:子どもの安全性と成長を意識した家具設計

  • 店舗ブランディング:SNS映えを意識した什器や照明演出

オーダーメイドであるからこそ、用途やユーザーに合わせた空間設計との一体化が可能であり、それが業界の幅を広げています。


5. 価値観の多様化に応える“物語性”の重視

現代の消費者は、機能や価格だけでなく「背景」や「物語」を求める傾向にあります。オーダーメイドインテリアは、その要望に最も応えられる存在です。

● 選ばれる理由は「モノ」ではなく「ストーリー」

  • 「地元の木を使いたい」「廃校になった体育館の床を再利用したい」などのストーリーデザイン

  • 作り手(職人)との対話を通して完成する“共創型ものづくり”

  • 製作背景や素材の産地などを公開する透明性のある価値提供

つまり、オーダーメイドインテリアは単なる家具ではなく、“使う人の価値観を可視化する手段”として、多様なライフスタイルに寄り添っているのです。


多様化の先にある「共感型インテリア産業」へ

オーダーメイドインテリア製作業は今、以下のような多様化を遂げています:

  • 顧客層の広がり(法人 → 個人・若年層・高齢者)

  • 製品機能の二極化(効率性 ⇄ 感性)

  • 素材・製法の進化(サステナブル×デジタル)

  • 空間ジャンルの拡大(住宅以外にも展開)

  • 「物語性」を伴うブランド価値の提供

これらを通して、オーダーメイドインテリアは単なる高級家具製作ではなく、「暮らしを共創する産業」へと変貌しています。

今後は、地域性、文化性、個人の哲学までも反映する“パーソナライズド・スペース”の創造が、新たな市場価値として期待されるでしょう。